ネオシティポップという言葉を知っていますか?
1970~1980年代に日本で流行した、「都会的」「洗練された」雰囲気を特徴とするシティポップ。
代表とされるのは山下達郎さんや、竹内まりやさん、松田聖子さんの楽曲です。
かつて大流行したシティポップに、現代のヒップホップやジャズ、テクノ音楽などの要素を加えアレンジされた、新時代的シティポップ、それがネオシティポップです。
そして今、ネオシティポップ界でも他のアーティストとは一味違う雰囲気で人気を集めているのが、ナルバリッチ(Nulbarich)。
都会の街並みを颯爽と歩くようなスピード感と、どこか肩の力が抜けるような優しい音。
まさに「垢抜けた」雰囲気が特徴的な楽曲は、CMやドラマ、映画に数多く起用され話題となっています。
今回は、ナルバリッチとはどのようなグループなのか、そして自動車、化粧品、ゲームなど様々な分野のCMに起用された楽曲をご紹介します。
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ナルバリッチってどんなグループ?
シンガーソングライターJQプロデュースのバンドグループ
ナルバリッチは、シンガーソングライターJQによってプロデュースされたバンドグループです。
「Nulbarich」と表記されるその言葉は造語で、
Null(ゼロ、形なく限りなく無の状態)
but(しかし)
Rich(裕福、満たされている)
この3つの言葉が合体しています。
JQの意向で、「相反する意味を持つ単語を繋げた」言葉がグループ名になりました。
「形あるものが全てではなく、形ないもの(愛、優しさなど感情)で満たされている」という意味も込められているそうです。
その時々のシチュエーション、求めるスタイルによって、親交の深い仲間を集めて曲作りをするそうで、JQ以外のバンドメンバーは固定されていないと言われています。
しかし、2017年に受けたインタビューでは、「実はメンバーは固定されている」とJQ自身が話していたようです。
どちらにせよ、その時のベストなサウンドを生み出すために、JQが最善の判断をしているのでしょう。
JQってどんな人?
JQは、4歳からピアノを始めて、小学校では吹奏楽、中学、高校ではバンドを組み学園祭でステージに立つなど、子供時代から積極的に音楽と関わってきました。
2009年、高校を卒業して専門学校に入ると、「GRAND FOCUS」というロックバンドグループを結成し、「CRANE」(クレイン)という人と、ダブルボーカルとして活動を始めました。
GRAND FOCUSが2014年に解散すると、約2年間ソロで活動を行います。
ソロ活動は「東京無礼者」(とうきょうブレーメン)という名前で行っており、なんとw-inds.や西野カナさんへ楽曲提供をすることもあったそうです!
そして2016年、JQがボーカル兼リーダーという形で、現在のナルバリッチがスタートします。
JQはそのずば抜けたファッションセンスとおしゃれなたたずまいから、メガネブランドのビジュアルモデルに選ばれたこともあります。
ナルバリッチのCMソング①ホンダ、アネッサなど
NEW ERA
ホンダ「グレイス」のCM曲として起用されたこちらの「NEW ERA」。
CMが放送されたのは2017年ですが、この曲自体は2016年にリリースされた1stアルバム「Guess Who?」に収録されています。
CMでは、車線維持センサーや自動ブレーキなど、先進的な機能をアピールしていますが、この曲をバックにして映ることで、どこか懐かしい安心感のある雰囲気も出ています。
Kiss You Back
モデルの森星さんが出演する、資生堂アネッサのCM曲に起用された「Kiss You Back」。
最初は少し静かな調子ですが、サビに入ると波に乗りだすように一気に明るくスピーディーになる、印象的な一曲です。
CMでの森星さんも、前半のカッコイイ表情から、最後は笑顔全開で叫び、曲の流れにマッチしてとても素敵です。
2018年5月16日にシングルでリリースされ、3枚目のアルバム「Blank Envelope」に収録されています。
All to Myself
「All to Myself」は2018年、三井アウトレットパークの新CM「AUTUMN SALE」篇のCMソングに起用されました。
CMには女優の多部未華子さんが出演しています。
この曲は、JQが新たな発見を探しにアメリカのロサンゼルスへ行った時に作られた曲で、現地のミュージシャンやエンジニア達と交流を深め、新しい音楽のエッセンスを吸収しながら生み出されました。
柔らかいリズムと優しい歌声で、包み込まれるような感覚になる気持ちの良い一曲です。
ナルバリッチCMソング②シチズン、どうぶつの森など。ドラマにも起用!
VOICE
2018年、北川景子さんが出演するシチズン「クロスシー」のCMに起用された「VOICE」。
アルバム「Blank Envelope」に収録されています。
曲が大人っぽい雰囲気なのでCMもシックなイメージかと思いきや、北川さんが満面の笑みでお喋りしている明るいストーリーとなっています。
北川さんの笑顔の爽やかさを引き立てているように感じますね。
さらにこの曲は、2019年に放送されたAbemaTV「恋愛ドラマな恋がしたい3」のエンディングテーマとしても起用されました。
若手俳優たちの恋模様を映すリアリティ番組。
揺れ動く男女の気持ちと、終わりなくずっと続きそうなこの曲のリズムが絶妙にマッチしています。
シチズンのCMとテレビ番組のイメージは全く違うものですが、どちらにも違和感なく溶け込んで、むしろ世界観を広げているように感じられます。
Sweet and sour
2019年放送のテレビ東京木ドラ25「デザイナー 渋井直人の休日」のエンディングテーマに起用されました。
ドラマは、光石研さん演じるおじさんデザイナーの冴えない日常や恋模様をリアルに映したもので、主人公と同世代の視聴者から多くの共感が集まっていました。
曲のリズムを刻んでいるコミカルな音が、渋井の上手くいかない日常や思い悩む姿をあたたかく映し出してくれています。
そしてこの「Sweet and sour」は、2020年、任天堂switch用ゲーム「あつまれどうぶつの森」のCMにも起用されました。
家族みんなでできたり、オンラインで離れた誰かと繋がることができたりするので、ステイホームをきっかけに大流行したこちらのゲーム。
CMでは、ゲームを通してお父さんと娘がやりとりする様子が描かれており、なんとも心温まるストーリーになっています。
このCMで曲を聞いていると、少しゲーム音のように聞こえる瞬間もあるような。
アルバム「Blank Envelope」に収録されています。
まとめ
日本で流行したシティポップがベースとなった、ネオシティポップという音楽ジャンル。
しかしナルバリッチの曲を初めて聞いた時は、「マルーン5?ジャミロクワイ?」と思うぐらい洋楽っぽいと感じた記憶があります。
実際、JQ本人もジャミロクワイの影響を強く受けながら音楽活動をしてきたそうです。
歌詞も英語と日本語が同じくらいの割合で、むしろ英語の方が多い曲もあります。
ナルバリッチにしか出せない世界観、垢抜けた曲調が特徴的ですが、多様なジャンルのCMやドラマに楽曲を起用され、どの映像にも不思議なほどにマッチしています。
これからも、様々なシーンでナルバリッチの楽曲に出会えるのが楽しみですね。